生理前や生理中に胸が張って痛い経験をしたことはありませんか?ここでは、生理の時期に胸が張るメカニズムと対処法についてご紹介します。
胸が張るのはホルモンの影響
成人女性は平均28日間を1サイクルとして、規則正しく月経を繰り返します。
子宮内のこの周期的な変化は、卵巣ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの分泌量の変化によってもたらされるのです。
このふたつのホルモンのうち、特にプロゲステロンが胸の張りや痛みと強く関係しています。
卵巣ホルモンプロゲステロンって一体なに?
妊娠しやすい体をつくるための「浮腫みホルモン」
プロゲステロンとは排卵後に分泌されるホルモンで、水分を体に溜め込みやすくする働きがあります。
排卵後、女性の体は少しでも妊娠が成立しやすいような環境を作ろうと必死です。プロゲステロンの作用により子宮内膜が水分を含み柔らかくなることで、受精卵が着床しやすくなります。女性の子宮はふかふかのベッドとなって、赤ちゃんの卵(受精卵)がやってくるのを今か今かと待っているのです。
このプロゲステロンが乳腺にも働きかけるため胸の中にも水分が蓄えられ、張りや痛みが生じてしまいます。
またプロゲステロンは乳腺内の血管を膨張させる働きもあり、少しの刺激や体動で痛みを感じてしまうのです。
プロゲステロンはいつまで分泌されるの?
排卵後7日頃で分泌量はピークに
妊娠が成立しなかった場合プロゲステロンは排卵後7日目頃で分泌量のピークを迎え、その後徐々に減少していきます。プロゲステロンの水分を溜め込む作用はやや遅れて現れるため、生理の3~4日前に胸の張りや痛みを感じ始める方が多いです。プロゲステロンの分泌量が減ると、子宮内膜や乳腺は水分を保持できなくなります。そのためこれまで溜め込んでいた水分が経血や尿と一緒に排出され、体は元の状態に戻ります。
生理の影響で20パーセントもバストアップ!?
プロゲステロンの作用により、生理の時期には20%もバストの容量が増量するという報告もあります。「ブラジャー1カップほど大きさの違いを感じる」という声もよく聞かれます。この時期に下着を買いに行くのは避けた方がいいかもしれませんね。
生理が終わってもずっと胸の張りが続くときは?
もしかしたら病気のサインかも!?
胸の張りは生理前後の一過性のものであれば、ホルモンの影響による浮腫みなので心配する必要はありません。
しかし生理が終わっても張りが続く、痛い、しこりがある場合は乳腺の病気の可能性があります。気になる場合は婦人科や乳腺外来などを受診しましょう。
生理前の胸の張りや痛みを緩和する方法6選
生活リズムを整える
一般的にホルモンバランスが乱れているほど、生理前の不快な症状が強く出現すると言われています。
ホルモンバランスを整えるためには十分な睡眠とバランスのとれた食事を心がけ、規則正しい生活を送ることが大切です。
カルシウムを摂取する
カルシウムが不足していると生理前の不快症状が出やすいとの報告があります。
カルシウムは牛乳・乳製品や大豆製品から効率よく摂取できます。魚介類ではわかさぎ・桜えび・しらす干し・ひじきに、野菜では小松菜・大根の葉・切干し大根に多く含まれています。
しかし乳製品に含まれるトランス脂肪酸の過剰摂取は、逆に胸の痛みを引き起こしやすいとも言われているので注意が必要です。
ビタミンB6を摂取する
ビタミンB6の不足もホルモンバランスの乱れを招きます。
ビタミンB6はかつお・まぐろ・さんま・レバー・バナナに豊富に含まれています。
外食・アルコールを控える
胸の張りや痛みは、プロゲステロンによる浮腫みが原因です。
外食など味の濃いものを食べ塩分を摂りすぎたり、飲酒したりすると余計に浮腫みを助長してしまいます。
日ごろから運動の習慣をつけておく
日常的に運動をしている女性の方が、生理前の不快な症状が軽い傾向があると言われています。
週に3回程度、30~60分の有酸素運動(軽いジョギングや水泳など)を取り入れてみるのがおすすめです。
マッサージで血の巡りを改善
胸の周辺を優しく円を描くようにマッサージすることで、血行が良くなり痛みが軽減することがあります。
やりすぎは逆効果ですので、あくまで優しくリラックスして行うことがポイントです。同様に、体を温めることも効果的です。
いつもより大きめのブラで胸にゆとりを
胸の張りを感じ始めたら、いつもより少し大きめのブラジャーを着用しましょう。
胸の締め付けがなくなることで、少し楽に感じるはずです。
セルフケアで改善しない場合は医師に相談を
「生活リズムを整え、食事にも気を使っているけれど、どうにもツラい・・・」そんな時は一人で悩まず、婦人科や乳腺外来を受診しましょう。
張りや痛みの原因が本当に生理によるものなのかの確認もして貰えるでしょう。
浮腫みを改善するための利尿薬や体に負担の少ない漢方を処方してもらうことで、劇的に症状が改善する場合もあります。